大人になりたい
「瀬川!」

どこからか私を呼ぶ声がする。

「瀬川ーー?」

その声の正体は…櫻田先生だった。

「夏希!彼がお呼びよ?はやく行きなさいっ!」

春子に背中を押されて先生の前に出る。

「あの………?なんでしょうか……?」

「そんな不思議そーな顔すんなって!化学係の仕事頼みにきたんだけど?」

「あ、係の…………」

「そう。係の仕事!今日の放課後セミナー室で待っててくれるか?」

「セミナー室ですか…?」

セミナー室は普段は使われていなくて、荷物おきになっている部屋だった。

「そう!他に場所が取れなくてさー。ちょっと量多いけど2人でやれば早いから!」

「あの………なにするんでしょう?」

「そんな、構えるよーなことじゃないわ!ただのプリント作り!ホチキスで留めて封筒にいれるだけ、じゃ!放課後は頼んだ!」

「あ、ちょっと!先生…………」

行っちゃった…………。
……………また放課後2人きり………
ドキッ……………
好き?
まさかね、
恋?
…………まさか……ね?

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