White X'mas

「じゃあ………明日……」

言いながら、随分と久しぶりだと思った。

初対面の男の人と2人きりでこんなに会話したことも、こんな風に別れがたく思うのも。



開かれた道をジョイと2人、踏み出した一歩の後にはもう、明日が待ち遠しくなる。


こんな気持ちも、本当に久しぶり。



また、会える。


ただ、それだけのことで、いつも憂鬱なクリスマスの日が楽しみになるなんて。


私は片手のバラが折れたりしないよう、体に添わせるように持ち直しながら思った。


帰ったら、手袋を取ってこの花びらに触れてみよう。


彼のくれた白く優しい花の感触を思い浮かべ、私はあたたかな気持ちで家路を急いだ。


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