White X'mas

翌日、店を早めに切り上げた俺は、久しぶりに着る少し高めのジャケットに袖を通し、ニヤニヤする兄貴に見送られて店を出た。

電飾の瞬く通りへ出ると、はらりと舞い落ちる白いもの。

「雪か……」

白に包まれたこの街角を思い描き、俺は少しだけ、笑みをこぼした。



メリークリスマス。

この小さく白い花びらが、舞い降りた全ての場所に幸せを運びますように。



ガラにもない聖人めいた祈りを心の中で唱えて、俺はざわめく人混みを歩き出す。


腕いっぱいのホワイトクリスマス、それと、彼女のコンサートチケットをポケットに忍ばせて……







               fin


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