White X'mas
思いあまった僕は、何度も何度も繰り返し教わったことも忘れ、思わずモカに呼びかけてしまった。
「クゥーン」
「…!………ジョイ?」
立ちすくむモカの前で男の人がパッとしゃがみこみ、わしゃわしゃと僕を撫でる。
「おまえ、ジョイっていうのかぁ~」
そうだよ、僕はジョイ。
モカの相棒なんだ。
「あの……すみません」
「あ!ごめんなさい、急に触ったりして」
「いえ、それは……いいんですけど」
モカは小さな声で遠慮がちに言って、ぎゅっと僕のハーネスを握った。
「このコ、どんな様子ですか?」
「え?」
「ケガしてるとか、近くに何か…嫌がりそうな物があるとか」
「そんな感じには見えないですけど」
「ごめんなさい。変なこと聞いて……でも、初めてなんです、こんなこと。だから、このコに何かあったのかと……私には……見えないから」
「……心配そうに見えます」
「心配?」