夕焼けの彼方
精一杯の怒りと悲しみ、そして憎しみ…てゆーか、すべての負の感情をこめた目で羽矢先輩を睨み付けてやった。
「オイオイ。何だその…まるで"精一杯の怒りと悲しみ、そして憎しみ…てゆーかすべての負の感情がこもってます"的な視線は」
鮮やかにリピートしやがったよ、こいつ。
アタシの心の中を透かしたような態度がたまらなくムカついて、また視線を書類に戻した。
「別に、そんなこと思ってません」
先輩は「ふーん、そう…」と言っただけで、別段気にしてはいないようだ。
まぁ、当たり前なんだけどね。
だってアタシ、嘘ついてない。
ホントの事言ってるんだから。
心の中で小さく勝ち誇ると、先輩はアタシの手元を覗き込んできた。
…そして、先輩が口にした一言で、アタシはとうとう臨界点突破を果たしてしまうのである。
「何これ?全然終わってないじゃん」