クリスマスの約束
あの頃、学年にカップルは数組しかいなくてなんだか時代の先端にいるような気分だった。
ただ手を繋いで一緒に帰る。
それだけで胸がいっぱいになった。
サッカーのクラブチームに入っていた俊の試合の応援にいって、シュートを決めたときにわたしに向かってピースをしてくれるのが嬉しかった。
初めてのキスは、俊の誕生日。
昼休みに、場所はやっぱりここ。屋上のドアの前の階段。
初めてのキスは甘い甘い味がした。
わたしががんばって作った初めてのケーキの味。
そうして季節は、過ぎていき中学3年生になりわたしは最後の初めてを経験した。
初めての彼氏。初めてのキス。初めて…一つになった。
お互いどうしたらいいのかわからなくて、確認しあいながらだったしとてもスムーズとは言えなかったけど、今まで生きてきたなかで一番幸せだった。
…なんて、ここにいたら色んなことを思い出すな。
『ねぇ。俊…今までありがとうね。』