クリスマスの約束



―――5年前。季節は冬。


わたし、藤堂 未亜はその頃中学3年生だった。

そして当時付き合っていた彼が、俊。
橋本 俊。同じく中学3年生。

受験生にとって、この時期はすごく大事でわたしも朝から晩まで塾にこもって勉強していた。


そんなある日、電話で俊に呼び出された。
俊にはサッカーのスポーツ推薦があるから、塾なんかいかないでいいもんね。いいなあ。

なんて、会う度に言っていた。


『あのさ。』

『ん?』


いつもの公園。いつものブランコ。
わたしが左で俊が右。

なにも変わらない。
でも何かが違う。


『…俺、東京行く。』


そうだ、いつも絶対に目を見て話す俊が今日はずっと地面を見ている。

さっきから感じてる違和感はこれだったんだ。


『それってさ…』

『ん。』


声が震える。
東京の高校に行くってことなんだよね。

今、俊頷いたよね。
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声だったけど。


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