クリスマスの約束
『冬休み、練習に参加させてもらえることになったから…ごめん。』
そのごめんは、なんのごめん?
クリスマスを一緒に過ごせないこと?
なにも言わずに東京に行くことを決めたこと?
『向こうの高校行って、めちゃめちゃがんばるから。夢叶えたいんだ。』
『うん。…がんばって!ファン一号はわたしだからね!』
がんばっての一言以外言葉がないよ。
だって、さっきまで俯いてたくせにそんなキラキラした目してさ。
そんな顔されたら、悲しいも寂しいもなんにも言えない。
『夢叶えなかったら容赦しないよ!』
『うん。』
いつもだったら、怖っ!とか言ってふざけそうなのに、それだけ本気なんだね。
夢…
20歳までにイタリアでプレーできる選手になる。
付き合い始めたころから何度も聞いてきた夢だった。
『絶対夢叶えるから。…5年後のクリスマス迎えにくる。未亜がよかったら、待っててほしい。それまでに好きな人ができたらそいつと幸せになってくれてもいいから…。』