The moment
ドアを強く引くと、黒と白が視界いっぱいに広がった。
モノクロ調にまとめてある私の部屋。
黒い壁には、雑誌のふろくのポスターや、
プリントアウトしたワンオクやChampagneなどが
ところ狭しと並んでいる。
真っ白な勉強机、黒いカーテンとカーペット。
床とドアも白くまとめてある。
私はこのモノクロの中で、唯一の「赤い」ベッドにダイブした。
「あ゛ー…」
こんな風にダイブしたのは何日ぶりだろう。
私は本当に悩みがあるときだけ、ベッドにダイブする癖がある。
無言でベッド脇のスティックに目をやる。
刻まれた青いラインは、小学6年生の時にペンで書いたやつだ。
いつも握るとこだけが少しへこんでて、
あの頃は無駄に力を入れすぎていたことが見てとれた。
うつ伏せになって、ぱたぱた足を動かしてみる。
「……」
あの日、あの4人と過ごした時間が忘れられない。
何もかも、鮮明に覚えてる。
特にあの、ドラムを叩くともくんの姿。
あのとき、ほぼ無心だったけど、でも確かに
格好いい、って。そう思った。
これは単なるリスペクト、尊敬の気持ちだよね?
夕焼けに染まる窓をしばらく眺めていた。