けぶる緑の奥に隠した、私の愛する永遠の少年。(短編)
深いブルーに包まれた、静寂の部屋の片隅に佇む少年。
異形の化け物。
だけど、私は怖くない。
手をのばせば、そっと、私のベッドサイドまで近づいてきてくれる。
私は、彼に、いつもやさしいキスをあげるの。
すると、儚い朝の光が私の部屋に差し込んで、森は目を覚まし始める。
光の中に、彼は消えてしまう。
昼と夜が交差する、その一瞬にしか、存在する事を許されない。
胸が切なくなるのは、私が少年を愛しているからじゃない。
マリ姉を思う気持ちが、溢れ出してしまうから。


カラン…コロン…
喫茶店の扉が開いた。
いらっしゃいませ、と店員の声。

だからマキはマリ姉に問いかける。

「森の奥の…沼のほとりの…あの少年を覚えてる?」
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