高梨さんと北条くん
「ああ、そういうことか、なんだ。和菓子を作るのはすごく、好きだよ。食べてくれる人の笑顔を想って作るのがなによりたのしい。」
「…そう、なんだ…」
北条の横顔は本当に嬉しそうで、きっと校門の女子のためにいつも作っているんだなと思った。
わたしはきっと試食役だ。
それでも、和菓子をくれるだけで十分だ。満足だ。満足しなきゃいけない。
そのうちに本鈴が鳴って、退屈な授業が始まった。
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