私の彼氏の取扱説明書
その1.不器用な彼の真意
「でねー、あそこのケーキがおいしくって!」
「今度伊織も行こうよ!」
「いいのっ?」
昼休み。
私、華原伊織(カハライオリ)、高校2年生。
大親友の真依(マイ)と優愛(ユア)と3人で、
教室で最近できたカフェの話に花を咲かせてたら。
「伊織ー」
聞きなれた声がして、ドアの方に目を向ける。
「なにー?」
そこには、彼氏の水沢佑樹が、焦ったような表情で立っていた。
「世界史の、資料集貸して」
「世界史ー?
…あーあった!」
はい、と手渡すと、
「さんきゅ」
と笑った。
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