俺の保健室天使
ほんとは甘い
「 痛っ… てぇ!!」
いきなり おでこをベチッと叩かれた。
俺、真山 憂樹。
昼休みに俺は保健室のベッドで寝ていたのに、白衣の天使が… いや、違う、白衣の悪魔が俺のおでこを容赦なく叩いた。
白衣の悪魔… いやいや、先生は 榊 英理。
校内じゃ英理チンと呼ばれている。
気さくで明るくて、ちょいドジだけどかなり優しくて大人だけに色気もあって、しかも、綺麗というより、可愛い人だ。
どうしたって憧れるものだろ。
高校生といえど、俺は完璧に健全なイケメンだ。
イケメン? 女子達にはよく言われるが、なんでコイツが?って奴がモテたりするから、女子のイケメン発言は いまいち信用出来ない。
それでも英理チンに言われたら信じるしかないだろ。
「 なんで叩くんだよ!先生だろ!」
くそぅ いってぇ…
「 お昼だからってここで寝てる方が悪いの!ここはね、昼寝場所じゃないの!」
「 ケチクセ… った!」
また、痛ったい!
「 ケチとはなに!クソガキ!」
「 なんだとーっ!俺は大人びたガキだ!」
ん?大人びたガキ? アホな事を…
「 あはっ… はは… 」
笑ってるし。なんだよ…
英理チンは大人だ、だから意味のない大人びたガキだなんて言われても笑うしかないんだろうな。
しょうがないんだ、ガキだから、わかっている事だ。
たた、英理チンを前にすると調子狂う。
だって俺は英理チンが好きだから。
保健室にいるのはわかっているから、でもここに来ないと会えないんだ。
英理チンが男の先生なら、女子達だって俺みたいに来るだろ?
同じだ。わかってもらおうとは思わないけど、俺は英理チンが好きなんだ。
ガキの恋なんて、大人の英理チンにはちょっとした火種だけで、線香花火のように、ピチピチ燃えて弾けず落ちる、そんな程度なんだ。
でも俺は… 俺なりにかなり本気で先生が好きだ。
どんなに叩かれても、俺は言いように解釈して、愛のムチだと思う。
じゃないと、フラれるまでの次元装置だから。