俺の保健室天使

少しのけ反るようにした英理チンは視線だけ俺を見た。

「 お、大人の塞き方って… 」

「 あれ、塞ぐなら今がチャンスだと思うけど?」

俺は、夢を正夢にしたかった。

「 今塞がないと… 俺が塞ぐよ、英理 」

とたんに、英理チンが、俺のだらけたネクタイを引っ張った。

ぉわっ!!

「 いいよ、塞いでも 」

「 え… いや、俺本気なんだけど?」

俺が出来ないとでも思って言っているのかと思った。

でも、英理チンが言った。

「 さっきも塞いだじゃない、だから… 」

え… えっ… さっきもって俺は夢で英理チンとキスした… あれ?

「 夢、じゃない?」

「 夢なわけないでしょ… 」

「 っ!!」

トンっと英理チンが俺に唇を当てた。

夢じゃない。

あれは、正夢だった。

ほんとに、英理チンとキスしてる!

でも、冷静に男らしく。

「 もう一回塞いでみる?」

英理チンの笑顔は天使だ。

この笑顔は俺だけのもの。

たまに悪魔な手が俺に愛のムチを叩いてくるが、やっぱり俺だけの天使。


「 英理 」

もう俺は、英理チンを英理チンとは呼ばない。

たまには呼ぶけど、俺は男だから英理って天使の名前を呼ぶんだ。

「 ところで英理は何歳だっけ?」

「 今それ聞くの! ほんとガキね… 」

「 なんだよ、オバサン 」

どこか笑顔で怒る英理チン。

またネクタイを引っ張って、互いの目が合えばキス。

ほんと、好きだよ 英理チン。





――――完――――――






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