冷徹ドクターに甘やかされてます
「何してんの」
「わぁっ!」
突然の声に顔をあげると、そこにいたのは松葉杖をついた久志くん。彼の登場に思わず私はカードと携帯を後ろへ隠す。
「ど、どうしたの?」
「別に。通りがかっただけ」
「そ、そっかぁー…」
「?何か隠してる?」
「いえ全然!全く!」
壁に寄りかかりこちらを見る彼に、手の中の携帯をぎゅっと握る。
「そういやさっき弟が探してたよ」
「へ?灯が?」
「もう帰っちゃったかなー?って。会いたがってた」
「……」
どうやら彼は通りがかりと言いながら、そんな灯の為にこちらまで探しに来たらしい。
(意外と面倒見いいんだよね)