冷徹ドクターに甘やかされてます
昨夜から続いていた不安感から逃れた安心感からか、腰が抜け立ち上がることも出来なくなってしまった私は、駅までの道のりを春田先生におんぶされ歩いていく
「ったく、腰抜かすほど怖いならそもそもキャバクラで働こうと思うんじゃねーよ」
「すみません…」
「駅前まで行ったらタクシー拾うから。それ乗ってお前は大人しく家帰れ」
そう怒りながら、少し長めのその毛先は揺れる
「…先生」
「?」
「ありがとう…わざわざ、来てくれて」
「…本当だよ。俺が少しでも遅れてたらお前今頃どんな目に遭ってたことか」
「……」
「まぁ、無事で何より」
「…うん、」
そう安心したように小さく笑う横顔がまた愛しくて、その首元にぎゅうと抱きつく。
うなじからふわ、と香るのは彼の髪の匂い
(…先生の匂い)