冷徹ドクターに甘やかされてます
(…そういえば、)
必死に考えた末に昼間のことを思い出し、ポケットの中からあるものを取り出す。
「陸、いい物やるから手出せ」
「…?」
ぐすぐすと泣きながらも差し出される右手
その手の薬指にそっとはめたのは、昼間灯が渡しておいてほしいと持ってきた折り紙の指輪。
「…これ…」
「昼間灯が持ってきた。作ったから陸に渡しておいてほしいって」
「灯が…?」
それを見た途端にぴたりと止まる涙
「すごい、灯…こんな細かいのまで作れるようになったんだ…」
「自分で渡すのは恥ずかしいから、ってさ」
「恥ずかしいって…お兄ちゃんになってきたんだねぇ」
「……」
そしてみるみるうちにその顔は嬉しそうな笑顔へと変わり、込み上げる安心感