冷徹ドクターに甘やかされてます
「…ー、」
「…ー…」
こちらから見える陸の顔は、先程とは打って変わり強張っている。それに対し、向かい合うその男はへらへらと浮かべる笑み
(俺と同じ歳くらいか…?)
ボサボサの髪に無精髭。きちんとした格好をすればそれなりに整っているのであろう顔立ちのその目元は、どこか見覚えのある印象
そんな二人の空気は友達、といった風ではない
「だから頼むって。3万あればいいからさ」
「…無理。断る」
「お前毎日仕事してて結構稼ぎあるんだろ?親の為に少し貸してくれるくらいいいだろ」
「“元”親の間違いでしょ。…それに私は灯の為に働いてるの。まともに仕事もしない人の為貸すお金なんてない」
「その可愛い灯が生まれたのは誰のおかげだと思ってるんだよ」