冷徹ドクターに甘やかされてます



「親が決めた話だよ。俺は納得も了承もしてない」



「へ…?」



「うちの親父バカだからな。ったく、息子の人生何だと思ってるんだか」



「じゃあ、結婚は…しないの?」



「あぁ、ないな」



「よかった…」



親同士が話をしているだけで、春田先生にそういう気持ちはないんだ…

安心感から吐き出す息に、春田先生はポンポンと私の頭を撫でる。



「わかったなら、変なこと考えてないで掃除に励め」



「……」





ついさっきまで、不安でいっぱいだった心

けど

その一言でたちまち、消えてしまうから





「…はいっ」



笑って頷いた私に、彼の顔も小さく微笑む



「っ、くしゅん!」



「うぉっ」



ところがそこでまた飛び出るくしゃみに、私は咄嗟に口元を手で抑える。


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