冷徹ドクターに甘やかされてます



ー…



「へー、失恋オメデトー」



「って失恋してなーい!!」



翌日の朝

二人きりの清掃員用のスタッフルームで、昨日の話を聞いては冷たく言い放つ久志くんに私は声をあげて反論する。



「だって相手は病院の娘で美人で器用でしょ?そんな婚約者相手に自分が勝てるとでも?」



「そうだけど…春田先生はしないって言ってたもん!」



「本人はそう言っても家が関わってきたらわからないでしょ」



「うっ…」



少しずつ怪我が治ってきている彼は、唯一まだ完治していないギブスのついた片足をひょこひょことさせ歩き出す。



「ま、あんな美人が現れたら婚約者とか抜きにしても向こうを選ぶと思うけど」



「なっ…もー!久志くんの意地悪!」



「現実見せてやってるだけ」



ツンとした言い方で人の不安を煽っては、久志くんは病室へ戻るようにその場を去る。


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