冷徹ドクターに甘やかされてます
「…?それ…」
「春田先生がね、捨てておいてほしいって。ほら、ゴム部分が切れちゃってるじゃない?」
「……」
確かに見れば、そのヘアゴムのゴムのところは切れてしまっている。
「でも、それ私があげたやつ…」
「えぇ、そうらしいわね。でも『壊れた物は仕方ないし、そんなもの持ってても期待させるだけだから』って」
「どういう意味…?」
「そのままの意味よ」
その表情は笑顔のまま、穏やかに言葉を続ける
「可哀想だけど、教えてあげる。私と誠二さんは婚約者なの。結婚するのよ」
「…でも、春田先生はしないって言ってました」
「まさかそれ、本気にしてないわよね?」
「え…?」
「彼、優しい人じゃない?だからあなたが可哀想で正直に言えないだけよ」
「……」