冷徹ドクターに甘やかされてます




けれどそれは、予想以上につらいことで





「あ、陸。お前今朝…」



「……」





春田先生の姿を見かけては、気付かない振りで避けて





「おい陸、さっき…」



「……」





目が合えばそらして、口を聞かずに





「陸、待てお前…」



「……」





その言葉も無視して、一日を過ごした。



(…つ、つらい…!!)



そしてバイトを終え夜になる頃には、私はぐったりと肩を落とし暗い病室の廊下を歩いていた。



一日中春田先生のことを無視するのが、こんなにつらいなんて…

だって少しでも会話をしたら決心が揺らいでしまいそうな自分がいて、けどそんなことは許されないからダメだダメだと自制する。



(今だけ、今だけだもん)



今まで好きって言ってた人間がいきなり露骨に避け出して何かと思うかもしれない。

けど、いっそ嫌いになってくれればいい

そしたらきっと、もっと楽なのに



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