冷徹ドクターに甘やかされてます





先生のために、諦める

先生のために?

ううん、自分のため

春田先生が悲しい思いをするのは、見たくないから

彼が笑ってくれれば、それだけで私は幸せだから

だから、





「陸ー、おはよ」



「おはよう、久志くん」



それから数日が経った日の午後。

いつも通り中庭の掃除をしていた私に、久志くんは声をかけた



「今日もいい天気だねー…ごほっ」



「?風邪?」



「うん、風邪気味っぽい」



「ふーん…あ、じゃあこれ」



「?」



咳込む私に彼がポケットから取り出したのは、小袋に入った飴。



「飴?」


「うちの親が持ってきた。のど飴」



「貰っていいの?」



「うん」



「ありがとう」



フルーツのど飴、と袋に書かれたそれを受け取っては手の中に握り締める。



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