冷徹ドクターに甘やかされてます







「……」



(…やっぱり、ない)

ある日の朝、俺は診察室の机の下を覗き込む体を起こした。



何がないのかというと、車のキーにつけていたあのヘアゴム

何日か前に、一度車のキーをどこかで落としたことがあった。いつも白衣のポケットに入れているはず、けれど恐らくバタバタと動くうちに落としてしまったのだろう





『春田先生、車のキー落ちてましたよ』





キー自体は偶然拾ってくれたらしい河上先生が届けてくれたからいいものの…その時には既にヘアゴムはついておらず





『あ…すみません、それについてたヘアゴム知りません?』

『ヘアゴム?…あぁ、この前言ってたやつですか?私が見つけた時にはもう何もついてませんでしたけど』

『あー…そうですか、』

『きっとゴム部分が切れてどこかに落ちちゃってるのかもしれないですね。それか可愛いヘアゴムだったから、子供が持って行ってしまったか』

『……』




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