冷徹ドクターに甘やかされてます



「バイトは何時から?」



「22時からです」



「そうですか、忙しなくて申し訳ない。ちょっとあの場では話しづらいことでして」



「いえ…あの、灯の話っていうのは?」



「……」



早速本題を切り出した私に、その顔は少し気まずそうに笑う。



「えーと…まずですね、今日僕がこの病院へ来たのは赴任前の下調べの為なんです」



「?はい…」



「病院内のことや医療のレベルはもちろん、小児科医は子供相手だからそれぞれの子供たちについてのデータを把握しておかないと万が一の時にも対応が出来ないですし」



「失礼致します。コーヒーと紅茶になります」



そう話しかけたところで店員さんが運んで来たカップを受け取り、その手はスティックシュガーを半分だけ入れてはかき混ぜた。



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