今日のディナーは何にする?
 

……カチャン。


「は~ごちそうさまでした!おいしかったです!」

「ありがとうございます。喜んでもらえて良かったです」

「お腹いっぱいで幸せです~」

「うん。僕もそう言ってもらえて幸せです」


お互いに顔を合わせて、ふふっと笑い合う。

本当にお腹いっぱいだ~、とお腹をぽんぽんと叩いてふと目線をあげると、カウンター奥の時計が目に入った。

その時、閉店時間を10分ほど過ぎていることに気付いた。

もうこんな時間!?


「嘘!ごめんなさい!もう閉店時間過ぎちゃってますねっ!すぐに出ますから!お会計……っ」

「いや、全然いいですよ。二宮さんの幸せそうな笑顔を見せてもらったし、時間もまだ全然大丈夫ですから。ゆっくりしていってください」

「!……そ、そうですか」

「はい」


シンさんが語尾に音符を着けたように嬉しそうに返事をしてくれたから、私の心臓は嬉しさでトクトクと速くなっていく。

この人は何で私が喜ぶ言葉や表情を、いとも簡単に出してくるんだろうか?

……あーもう、本当にこの人のことが大好きでたまらない。

 
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