今日のディナーは何にする?
 

「…………そう」

「……は、はい……」


シンさんがポツリと呟き、ふと私から目を反らした。


「……。」


……も、もしかして……私、間違えた!?

誤魔化すのが正解だった!?

不安に襲われかけた時、シンさんがはぁ~と息をついた。

私の身体がビクッと跳ねる。


「……間違えてなくて、良かった」

「へ?」

「独り善がりのキスとか痛すぎるでしょ?」

「……独り、善がり?」

「……知ってた?俺も二宮さんのことが1年前からずっと好きだってこと」

「……。えっ!?」


シンさんが柔らかく笑う。

……シンさんが……私のことを、好き!?

嘘っ、嘘っ!!!


「ほ、ほんとに……っ」

「くくっ、本当だよ?……だからさ」

「へ?」

「もう一回、キスしよ?」

「えっ、……んっ」


シンさんは1年前と同じように、私の答えなんて聞かないまま、私の唇を奪う。

さっきとは違って、私の何もかもを奪い去っていくような深くて甘いキスに、私は一気に溺れていった。





「は……っ」

「……二宮さん」

「……っ」


立っているのもやっとな私の耳元で、シンさんが囁く。


「……好きだよ」

「っ!」


そのまま、シンさんは私を引き寄せてぎゅっと抱き締めてくれる。

私もそれに応えるように、シンさんを抱き締めた。



……シンさんの温かい胸の中で見えたのは、外でぼんやりと光る温かい赤い光だった。

 
< 19 / 20 >

この作品をシェア

pagetop