今日のディナーは何にする?
「あの、お客さんいないみたいですけど……もしかして、もう閉店ですか?」
「あ、大丈夫ですよ!今日はお客さんも少なめでもう閉めちゃおうかと思ってたんですけど、二宮さんが来てくれたなら張り切って作らせていただきます!」
「本当ですか?良かった~もう、お腹ぺこぺこで仕方なくて!」
「外は寒かったでしょう?すぐ作りますから、お茶でも飲んで温まっていてください」
「はーい!ありがとうございます!」
うんと頷いて、カウンターの奥に入っていくシンさん。
顔馴染みになったからか、私から「これが食べたい」と注文しない時はシンさんのオススメメニューを出してくれる、というのが習慣になっていた。
今日は特に食べたいものも思いつかなかったし、単純にシンさんの作ったラーメンを食べたかったから、メニューはシンさんに任せることにした。
何を出してくれるのかな。
わくわくしながら、私はいつものようにカウンターに座った。
シンさんの姿がよく見えるその場所に。
……そうだ。ちょうど1年前も私はこれと同じ光景を見たんだ。