今日のディナーは何にする?
 

無意識にふぅと白い息を吐き出してしまって、気持ちが落ちてしまう。

……って余計に空しくなるわ!顔上げろ!私!

と自分ツッコミを入れて顔をぱっと上げた時、赤く光る提灯がふと視界に入ってきた。


「……」


その赤い光はどんなイルミネーションよりも輝いて見えて、すごく温かく感じた。

私はその光に引き寄せられるように、赤い提灯の光る場所へと歩みを進めていた。




「……相馬軒?……ラーメン、ギョーザ……」


温かな赤い光を放つ提灯の前に立ち止まり、それに書かれた文字を読み上げる。

文字通り、そこはまさにラーメン屋さん。

いつの間にできたのだろう?

毎日向かいの道を通っているはずなのに、全く気付かなかった。

首を傾げた時、私のお腹がぐぅと鳴いた。


「……。」


私はそっとお腹を押さえて、考える。

……寒いし、お腹すいたし、家に帰ってご飯作るのも面倒だ。

……よし、今日のディナーはここでいただくことにしよう。

クリスマスだからって、鶏の丸焼きを食べる必要なんて、これっぽっちもないんだから。

しかも、ラーメンは冷えた体を温めるのにぴったりじゃないか!

私はうんと一人で頷いて、温かい光の漏れる扉をガラッと開けた。

 
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