愛するお方がサンタとなりました
あなたが欲情してくれるようなポーズを考えつつ、机上に並べた、世間一般の“ごちそう”とやらはおかしくないか眺めて見る。
ああ、不味そう。
こんがり黄金色したオレンジソース仕立てのローストチキンや、じっくりことこと煮込んだビーフシチューのパイ包みや、とれたてピチピチを捌いたサーモンのサラダや、三段重ねの苺たっぷりクリスマスケーキ……ああ、全て、不味そう。
何が足りないのかしら、ワタクシの食指が動かない。
「ああ、あなた、早く帰って来ないかしらぁ」
ワタクシに足りないものとなれば、あの人しかいないわね。
あなたがあの椅子に座った瞬間、この料理も美味しく見え。更には、「うまい」だなんて言ってくだされば、ワタクシはそれだけで満足、食べずとも「うまい」と思えるわ。