君と歩いていく道
どの単語だろうと思いだす。

〝鏑木〟は、昨日言ってもこんな反応はしなかった。

震えだしたのは〝電話〟よりあと。
〝楽団〟?〝連絡〟?

恐らく〝楽団〟だろう。楽団で何かあったのだ。


「どうしたんですか?」

「・・・く・・・あ・・・。」


彼女の頭の中でなにが起こっているか、覗くことが出来るならすぐにわかるのに。

楽団でいじめでもあったのだろうか?
だが、今度のコンサートでピアノを務めるのは真崎だと公表されていた。いじめられているのなら、引きずり下ろされていただろう。

他の可能性は、分からない。

昨日彼女が待っていた人物なら、分かるかもしれないが。


「落ち着いてください。深呼吸して。」


よほど苦しかったのか、素直に深呼吸をし始めた真崎の背中をさする。
パニック障害の症状と似ているのだが、しばらく前からその気配があったのだろうか。


その時、ノックも無しにドアが開いた。






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