君と歩いていく道
過呼吸を放っておくと、酸素が体に入りすぎて頭が回る。落ち着いてきたら、酸素を吸わせてやらなければ、苦しくなる。
「疲れましたね。さあ、目を閉じて。少し眠りましょう。」
なんでもないミネラルウォーターは、真崎を落ち着いた眠りに落としてくれた。
本当をいうと、このままカウンセリングに入りたい。だが、原因の分からない発作だ。今は落ち着かせることが先だろう。
眠った真崎を看護師に任せ、大月は紺野を外に連れ出した。
プロのテニスプレイヤーが目の前に居る興奮を隠し、簡単に自分の素姓を名乗った後、すぐに話を切り替える。
「紺野さん、この症状は初めてですか?」
何か知っているようだったし、親しいようでもあった。
「・・・いや、何度かある。」
「いつからかわかりますか?」
医師として、大月は質問を重ねる。
紺野は思い出すように言葉を紡いでいく。
初めての発作は三ヶ月ほど前。コンサートホールで取材から逃れていたところで起こったらしい。
その頃にはもう紺野と知り合っていたことになる。
真崎が交響楽団に入ったのは2年ほど前で、押谷と別れたのは1年半前。
「真崎さんとは、どういうご関係ですか?」
紺野の瞳は〝そんなことまで聞くのか?〟と言っていたが、必要なことだった。真崎は何も語らないし、親も来ない。
「ええ。貴方以外、誰も来ないもので。」
「・・・そうか。」
紺野をにらんだ目は、視線を逸らして悲しそうに前を見つめる。
「彼女は俺の恋人だ。」
ああ、やはり。
そうは思ったものの、紺野が付いていながら自殺を考えたとは、どうも納得がいかなかった。
「疲れましたね。さあ、目を閉じて。少し眠りましょう。」
なんでもないミネラルウォーターは、真崎を落ち着いた眠りに落としてくれた。
本当をいうと、このままカウンセリングに入りたい。だが、原因の分からない発作だ。今は落ち着かせることが先だろう。
眠った真崎を看護師に任せ、大月は紺野を外に連れ出した。
プロのテニスプレイヤーが目の前に居る興奮を隠し、簡単に自分の素姓を名乗った後、すぐに話を切り替える。
「紺野さん、この症状は初めてですか?」
何か知っているようだったし、親しいようでもあった。
「・・・いや、何度かある。」
「いつからかわかりますか?」
医師として、大月は質問を重ねる。
紺野は思い出すように言葉を紡いでいく。
初めての発作は三ヶ月ほど前。コンサートホールで取材から逃れていたところで起こったらしい。
その頃にはもう紺野と知り合っていたことになる。
真崎が交響楽団に入ったのは2年ほど前で、押谷と別れたのは1年半前。
「真崎さんとは、どういうご関係ですか?」
紺野の瞳は〝そんなことまで聞くのか?〟と言っていたが、必要なことだった。真崎は何も語らないし、親も来ない。
「ええ。貴方以外、誰も来ないもので。」
「・・・そうか。」
紺野をにらんだ目は、視線を逸らして悲しそうに前を見つめる。
「彼女は俺の恋人だ。」
ああ、やはり。
そうは思ったものの、紺野が付いていながら自殺を考えたとは、どうも納得がいかなかった。