君と歩いていく道
そのことをあえて言うつもりもない。
当の本人たちも特によりを戻したような感じでもないので、恐らく押谷は真崎を吹っ切れたのだろう。
そう思う事にした。
「おい、出せ。」
乗り込んだ水瀬の声で、リムジンは走り出す。
紺野と真崎を引き合わせたのは自分なので、水瀬は最後まで面倒を見てやろうと決めている。
真崎は紺野の隣に座って、好奇心を抑えきれない視線を隠そうと必死だ。
「玲、何故〝また〟なんだ?」
水瀬が別れ際の疑問を投げかけると、真崎は恥ずかしそうに俯いて話し始める。
「子供達と約束したんだ。ピアノが弾けるようになったら、弾きに来るって。」
そんな約束をするとは、彼女らしいと思った。
リハビリの一環としてピアノに触らせたことも、紺野から聞いていた。
何ら不思議はなかったのだが、真崎が子供にピアノを聴かせている図も面白いと笑ってしまう。
彼女は子供が苦手だった。
だから、コンサートのチケットは年齢制限まで付いている。
仕方のないことだと思えるのは、家庭環境の悪さだろう。演奏一家の家族なので、親はよく家を空けていたし、周りに子供は寄せつけられずに、レッスンで遊びも制限されてきた。
当の本人たちも特によりを戻したような感じでもないので、恐らく押谷は真崎を吹っ切れたのだろう。
そう思う事にした。
「おい、出せ。」
乗り込んだ水瀬の声で、リムジンは走り出す。
紺野と真崎を引き合わせたのは自分なので、水瀬は最後まで面倒を見てやろうと決めている。
真崎は紺野の隣に座って、好奇心を抑えきれない視線を隠そうと必死だ。
「玲、何故〝また〟なんだ?」
水瀬が別れ際の疑問を投げかけると、真崎は恥ずかしそうに俯いて話し始める。
「子供達と約束したんだ。ピアノが弾けるようになったら、弾きに来るって。」
そんな約束をするとは、彼女らしいと思った。
リハビリの一環としてピアノに触らせたことも、紺野から聞いていた。
何ら不思議はなかったのだが、真崎が子供にピアノを聴かせている図も面白いと笑ってしまう。
彼女は子供が苦手だった。
だから、コンサートのチケットは年齢制限まで付いている。
仕方のないことだと思えるのは、家庭環境の悪さだろう。演奏一家の家族なので、親はよく家を空けていたし、周りに子供は寄せつけられずに、レッスンで遊びも制限されてきた。