君と歩いていく道
やがて空港に着けば、鏑木が出迎えてくれた。
搭乗客が自分たち以外誰もいないのもおかしな感じだと真崎は思ったが、それが水瀬と鏑木の計らいなのだと気付くのに時間はかからない。


「私が同行することはかなわなかったが、また折を見て会いに行く。それまでレッスンを怠るな。」

「ありがとう、ございます。」

「うむ。行ってこい。」


鏑木に見送りをされた三人は、ターミナルの向こうへ消えていった。
真崎のパスポートは紺野が預かっているし、あとは飛び立つだけになっている。


「怖いか?」


興味深そうな真崎の瞳に不安を感じ取った紺野は、離陸間際に彼女に聞いた。
別に海外が初めてなわけでは無かったが、しばらくは帰ってこないだろうとわかっているので、少しだけ不安なのかもしれない。


「大丈夫。ただ・・・。」

「ただ?」


「死んでたら、もう会えなかったんだよね。」


真崎の言葉に、胸が締め付けられた。

水瀬もそうだったのだろう。悲しそうな眼で真崎を見ているのがわかる。

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