君と歩いていく道
彼女は自宅で手首を切ったらしい。
毎日来ている家政婦が第一発見者だった。
その頃紺野は大会で彼女の傍にいることができずに、それでも毎日電話を掛けていたようで、電話の向こうの真崎は元気そうだったので安心さえしていた。
実際、当日も安定はしていたのだ。朝までは。
鏑木からも電話をもらって、たまたま楽団のコンサートマスターが真崎の様子を見にきた。
そして、彼女はコンサートマスターが帰った数時間後、ピアノの前で手首を切る。
真崎はその日のことを何も覚えてはいないし、誰も現場を見ていないのでわからない。
ただ、コンサートマスターとの間に何かがあったのだろうが、家政婦もお茶を出しに行ったが、特にもめたような様子はなかったと話している。
彼女が思い出す以外、真相を知ることは叶わない。
思い出せば壊れてしまうだろうことは、簡単に想像がつく。
だから思い出す必要は誰も感じていない。
真崎の手を握りながら、紺野は彼女の体温を感じて安心した。
「守れなくて、すまない。」
紺野は不安定な精神状態を知っていながら、そばにいられなかった自分が腹立たしかった。
毎日来ている家政婦が第一発見者だった。
その頃紺野は大会で彼女の傍にいることができずに、それでも毎日電話を掛けていたようで、電話の向こうの真崎は元気そうだったので安心さえしていた。
実際、当日も安定はしていたのだ。朝までは。
鏑木からも電話をもらって、たまたま楽団のコンサートマスターが真崎の様子を見にきた。
そして、彼女はコンサートマスターが帰った数時間後、ピアノの前で手首を切る。
真崎はその日のことを何も覚えてはいないし、誰も現場を見ていないのでわからない。
ただ、コンサートマスターとの間に何かがあったのだろうが、家政婦もお茶を出しに行ったが、特にもめたような様子はなかったと話している。
彼女が思い出す以外、真相を知ることは叶わない。
思い出せば壊れてしまうだろうことは、簡単に想像がつく。
だから思い出す必要は誰も感じていない。
真崎の手を握りながら、紺野は彼女の体温を感じて安心した。
「守れなくて、すまない。」
紺野は不安定な精神状態を知っていながら、そばにいられなかった自分が腹立たしかった。