君と歩いていく道
だから、とりあえず水瀬を呼んで話してみることにする。


「あぁ?馬鹿か。」


あっさりと幼馴染に返り討ちにされ、真崎は正直へこんだ。
水瀬としても真崎がアルバイトに出るのは反対だったし、やりたいならやりたいでまず自分に相談してくれればいいのにと、盛大に溜め息を吐く。

「だって、早く復帰したいんだよ。」

「だからって焦ってんじゃねえ。だからお前は馬鹿なんだ。」

真崎がバイトを始めたことぐらい、すぐに周囲が気付くだろう。
そういうところに気が回らない真崎のことなので、紺野にさえばれなければいいと思っている節がある。

確かに紺野は堅い所があるし、一年前の一件以来、ますます心配性になっている。
だが、それは愛情の裏返しであって、決して真崎自身も不快ではないはずだ。何が不満だと言うのか。

「とにかく、決めたもんはちゃんとやれ。それから、紺野にも話しておけ。」

店と個人との契約なのだから、契約を結んだ限りきちんとやらなければ大人として失格だと水瀬は言った。

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