君と歩いていく道


「そうだよね。信吾にも、昨日言われたんだ。」


話せばすぐに分かってくれたし、どうしようかと本気で悩みだした真崎に、本当のところ非は無い。
非があるのはむしろ彼女を取り巻く環境だったし、それがかわいそうにも思う。
だが、彼女自身がこれからも平穏な日常を送りたいと思うのなら、それ相応に対処していかなければいけない問題なのだ。


「・・・あの人が、来るかもしれないしね。」

「ん?」

「ううん。やっぱり、活動再開するなら、ちゃんとやるよ。明日で、終わりにする。楽しかったけど、しょうがな
いよね。お店に迷惑かかるし。」

「ああ。だが、客として行く分にはいいだろう。」


紺野の言葉に嬉しそうに笑った真崎は、大きく頷いた。

彼は聞き逃していたのだが、真崎にはとても心配なことがある。
水瀬も彼女に忠告はしていたのだが、両親のことだった。

一年前の一件に姿は現わさなかったが、テレビでは散々批判していたとの噂だ。
音楽雑誌などでもインタビューにも書かれていて、それは真崎も読んでいる。
別に今更何を言われようが傷つくこともなかったが、何よりも両親は苦手だった。

食事の後片付けをしながら黙ってしまった真崎の背中を見ながら、紺野も何か不安なものを感じたような気がした。

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