君と歩いていく道

変調

翌日の練習試合に、真崎も見学に来ていた。

五人分の弁当を朝から作り、選手たちよりも張り切っている。

五人分、というのは分量を間違えたわけではなく、水瀬も来ると思ったからだ。
予想通り、水瀬も見に来ている。と、言うよりは、参加している。

昨日のことを水瀬にそれとなく話した紺野は、真崎に聞こえないような位置で話したいと言われ、二人で一緒に離れた場所に来た。

試合前に軽く打ち合ってくると言ったので、ラケットを持って。

本村と伊吹にも真崎のことを頼んでおいたし、彼女も昨日から一人になろうとしないので大丈夫だろう。


「そうか。俺の方でも調べておく。」

「すまない。」


頭を下げた紺野に、水瀬は鼻で笑う。

「お前のためじゃねぇ・・・幼馴染のためだ。」

紺野に頭を下げさせた優越感はあったが、彼にそこまでさせる真崎がすごいとも純粋に思った。
水瀬グループの時期社長として、多様な仕事をこなして身についた水瀬の先を読む能力でも、紺野がここまで真崎に執心するとまでは見抜けなかったようだ。

一つ下の彼女は、妹のようなものかもしれない。

寂しさのあまり真崎が荒んで、押谷と付き合うと言い出した時、反対したのは水瀬一人だった。
聞いた話だけでも押谷が本気に見えたからこそ、反対だったのだ。
彼女が本気ではないことを、わかっていたから。
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