人魚姫と海の涙
「コレ!飲んでっ!」


しばらくして戻ってきた鈴ちゃんの手には、


ビー玉のような、飴玉のような、眼球のような、


真っ青な球体が握られていた。


「コレ、なあに?」


僕の単純な質問に鈴ちゃんは笑う。


「お薬。人魚の涙。まあ、私の涙だよっ」


鈴ちゃんの、涙。


おかしい。


昨日の話で、鈴ちゃんは人間になると言っていた。


なのに。
< 110 / 148 >

この作品をシェア

pagetop