人魚姫と海の涙
だけど、あの娘は人魚の力を捨てずに人になった。


孤独な人魚姫。


今思えば、私たち家族に大きな責任はある。


儀式の日が迫っているのに気が付かなかった。


私は、心が笑みを浮かべたまま人を刺していく様が目に焼き付いて、


部屋から一歩も踏み出そうとはしなかった。


父上と母上は心の事件で亡くなった人を彼方に送ったり、


怪我人の治療で忙しかった。
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