人魚姫と海の涙
彼女の訃報が届いたのは奇しくも父上と母上の命日だった。


月に一度しか来ないはずの郵便。


つい一昨日に来たばかりの郵便屋さんが再び私の家を訪れた。


手に、真っ黒な封筒を握って。


その黒さは乾いた血液を思わせて。


ぞぞ、と嫌な予感が背を這った。


受け取った手の震えは、しばらく収まってくれなかった。
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