人魚姫と海の涙
体温が無くなってゆくのが自分でもわかってしまう。


いつしか雨が降りだしていて、血が洗い流されていく。


落ちそうな意識を辛うじて繋ぎ止めていたのは彼の温もり。


ぎゅっと私の手を握っているその手。


繋がれた感覚はもはやないけれど、熱すぎる体温はわかる。


あ、違う。


私の手が冷たいんだ。


だから熱く感じる。
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