人魚姫と海の涙
「お前、一人暮らしなのか?」


路地裏から私の家に移動し彼に紅茶を振る舞っていた最中、唐突に彼は言った。


淹れた紅茶を啜り答えを返す。


「ええ、両親は病で死別してるし、汐音と言う姉は殺されたから。唯一の家族はここから離れた社に住んでるの」


「ふーん?大変なんだな」


興味なさそう。


何故聞いた?


「まあ、自炊は出来るように躾られていたし問題ないけどね」


飲み終わった紅茶のカップを洗って伏せる。


少しの緊張。


でも、訊かなければならない。


私は意を決して口を開いた。
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