人魚姫と海の涙
その後に今更だけど自己紹介をしあった。


彼が記憶を失っていること。


ただ、人を殺さなければいけないことと、旅をしたいと言う気持ちだけが残っていること。


漆を塗ったように艶のある黒髪とキラキラ光る瞳を持ち顔の半分に火傷の痕がある彼、ディフのことをたくさん聞いた。


続いて私のこと。


人魚姫の血を引いているが、実の両親に会ったことはないこと。


双子と言っていた心音は血が繋がっているわけではないこと。


海のよう、と言われた長いコバルトブルーの髪とそっくり同じ色の目を持つ人魚姫の生まれ変わり、私のことをたくさん話した。


「結局、心音ってどんなやつなんだ?」


ディフが心底不思議そうに言うのでつい、私も口が滑った。


この島の守り神の血を直系で引いているのに祟り神になってしまったこと。


悪気はないのに力の暴走で大きな被害を出してしまうこと。


雪のような白いおかっぱにルビーや血のように深く赤い濁った瞳の私の大切な家族、海堂心音のことをたくさん話した。
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