人魚姫と海の涙
そしてシエルは死にました。


5つになったばかりの小さな娘を残して。


そして、狂った呪いの物語が始まります。


自分と違う種に恋をしてはならない。


してしまったら相手か自分を殺さなければならない。


そうしなければ、両方が死ぬ。


抜け道は一つだけ。


恋の出来ない人魚姫になること。


魔女らしく狂っていて、でも確かにシエルの願いを叶えた呪い。


シエルの子孫たちは時に人として生き、人魚として生きたりもしました。


その選択の権利は確かに彼、彼女らに委ねられていて。


時に違う種に恋をしたときも辛い選択を迷うことはありませんでした。


そして、シエルの子孫たちはのちにこう呼ばれるようになります。


【海の涙】の一族、と。
< 56 / 148 >

この作品をシェア

pagetop