俺の蕾ちゃん
わ……っと、なんだよ!
見れば玉置が 俺に、しーっ… と指を立てて喋るなとの仕草をする。
「 どうした?」
「 うん、誰かいるの… 3年の人みたいでちょっと… 」
俺と玉置は小声で話す。
気づけばかなりの至近距離に、ビックリだが、腕を掴んだままの玉置は気づいてないようで、他にいる奴に気づかれないようにと無意識にくっついている。
いくら祐未の言うブサコとは言え、女だから気になる。
ちゃんと座ろうと座り直した時、ジャケットを脱いだポケットから小銭が落ちて棚にあたった。
ヤベッ!
玉置はハッとして俺を見た。
思わず俺は玉置を座る棚へドンッと押しつけ、同時に口を手で塞いだ。
柔らかい薄めの絨毯でも、静かな図書室では、足音としてちゃんと聞こえる。
ヤバイ… 来るっ って、何で俺らが隠れるんだよ!
俺は本の隙間から誰か来るのを見た。
棚についた片手で玉置が見えないようにさらに俺が近づく。
玉置の目は驚きと不安でいっぱいとわかる。
すると、俺たちを見た奴らは ボソッと言った。
「 チッ、ここにもいたか 」
「 他行こうよ 」
なんだよ、イチャついてたんか!
図書室のドアが閉まり、俺はホッとして玉置を見ると、俺をじっと見ていた玉置の目と絡み合った。
ん? 玉置って…
「 目、綺麗だな… 」
見れば眼鏡から上目使いで俺を見る玉置の目に吸い込まれそうだった。