君には聴こえる
昔から必ず、この場所では誰かが歌っている。歌ってるだけじゃない。四、五人のグループが楽器を演奏していることもあった。
よく見かける馴染みの人もいれば、初めての人もいる。
だけど、ステージとなる小さな噴水の前には必ずひと組だけ。
平日は夕方から夜間が多いけど、土日になれば日中から夜間まで、ひっきりなしに誰かが歌ったり楽器を演奏したり。
もしかすると、この場所の使用時間を管理している人がいるんじゃないか。裏でスケジュールを取り纏めているのがしれない。
そうでなければ、いざという時に取り合いになって揉めることもあるだろうに。
なんて、忘れかけていた疑問まで、思い出の中から蘇ってきた。きっと、しばらく頭から離れないだろう。