不良狼の一途な溺愛【番外編】*Sweet・Christmas*
やんわりとした口調で話す声が、後ろから聞こえてくる。
かなり聞き覚えのある声。
振り向くと、そこに立っていたのは秀夜だった。
「か、かしこまりました…。それでは、ごゆっくりお選び下さいね…。」
店員は笑顔で会釈すると、他の客のところに行ってしまった。
「秀夜、お前…どうしてここに?」
「すぐそこの書店に寄ってたんだよ。帰る途中に、この店の前を通ったら、たまたま蓮の姿が目に入ったから、ビックリしてさ。何してんのか気になって、二人で潜入したってわけ。」
「二人…?」
「ああ。陸都と書店に寄ってたんだ。俺が参考書を選んでる最中、アイツはマンガを買ってたみたいだけど。」
秀夜が指差す先には、他校の制服を着た女と楽しそうに話している陸都がいた。
「ふーん、なるほどな。でもまあ、そのおかげで助かった。ありがとな。」
「どういたしまして。」
秀夜がフッと笑っていると、陸都が俺の方に駆け寄ってきた。
どうやら、他校の女との会話は終わったようだ。