不良狼の一途な溺愛【番外編】*Sweet・Christmas*
「殺気なんか漂わせてねぇから、安心しろ…柚。」
彼女の頭を優しく撫でる。
全く、兄貴のヤツ…最後の最後までイライラするようなこと言いやがる。
今度、兄貴と二人だけの時があったら、思う存分…怒りをぶつけてやろう。
「じゃあ、柚ちゃん。これからも蓮を宜しくね!」
「は、はい…。」
兄貴は爽やかに笑うと、美咲さんと一緒に帰って行った。
な、なんか…少し疲れた。
兄貴が来ると、どうも気が休まらねぇんだよな。
ガクッと肩を落とすと、柚が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「蓮、どうしたの?どこか調子…悪い?」
「いや、どこも悪くねぇよ!何でもねぇから大丈夫。心配させちまって、ごめんな。」
俺は、柚の唇にキスを落とした。
ったく、柚に気を遣わせちまうなんて、何やってんだ俺は。
今日は柚と過ごす初めてのクリスマスイブ。
兄貴のことなんてサッと忘れて、思いきり楽しまないとな。
そう思いながら、柚の手を引いてキッチンへと戻った。