平凡な憂の非日常

「付き合いません」

丁重にお断りして

僕は化け猫の横を通り抜けて階段を上った。

「なんで、即答やねん!

ちょっとは考えてぇや!」

僕の腕を掴んで、化け猫は叫んだ。

「………やっぱり、付き合いません。」

「全然、考えてへんやろ!

なんでや、ウチのどこに不満があんねん!」

(アンタと付き合いたい奴がいるなら、見て見たいよ)

そう思いつつも

「名前も知らない、今日会ったばかりだし

急には無理だよ。」

(というか、図々しさに問題があるよ)

「ウチは、リナって言うねん。

出会ってすぐに恋に落ちるパターンだってあるやろ?

ウチは、憂にフォーリンラブやねん!」

「でも、僕は恋してませんから。」

(なんかもう、全部ウソっぽく聞こえるんだよね)

「せやったら、付き合ってから

好きになるパターンでいいんちゃう?

ウチ頑張るで!」

(なんで、そんなに必死なんだ?)

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